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コラムの泉

介護福祉施設の問題点

カテゴリ
労務管理  >  労働基準法  /  労災保険  /  労働安全衛生
最終更新日
2013年02月15日 10:59
著者
原 労務安全衛生管理コンサルタント事務所 さん
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福岡で企業のコンサルタントを行う

原 労務安全衛生管理コンサルタント事務所
          (社会保険労務士

    http://www.roumuanzeneisei.jp


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今回は、介護福祉施設の問題点について。


平成25年2月14日付けで岐阜労働局が報道していた記事が掲載されていました。

NHKのオンラインニュースでも見かけましたが、紹介するのは毎日新聞の記事。


     △  △  △  △  △
  
老人福祉・介護事業所:67%に法令違反 労基署が改善勧告 /岐阜

 岐阜労働局は、県内の老人福祉・介護事業所の67%で労働基準関係法の違反がみつかり、各労働基準監督署が改善を勧告したと発表した。
 県内7労基署が139の老人福祉・介護事業所を調査した結果、93事業所で賃金不払い残業などがあったという。
 時間外労働割増賃金の不払いや、上限の月42時間を超えて80時間も時間外労働をさせていたケースなどで改善を指導した。
 介護事業は腰痛の発症率が高いといい、松野明広・監督課長は「労務管理を知らずに福祉事業を立ち上げるケースが多い。腰痛で離職する人も多く、労働条件の改善が求められる」と指摘している。
 介護事業は国の新成長戦略に挙げられている。
 09年統計によると、県内では3年前より268施設増えて949施設の登録があり、従業員は1万人以上増えて2万4650人と事業が拡大している。【立松勝】

     △  △  △  △  △


介護福祉施設に関しては、顧問としてうかがっている事業場もそうですが、

監督官をしていた頃、労働条件の低さと併せ、労務管理の知識のなさを感じています。

法違反7割とありますが、私が感じた範囲では9割近くが何らかの違反があると思います。


介護保険法が始まって、すでに10年を経過し、業界としての成熟も進んできたように感じます。

参入の自由化ではありませんが、許認可事業でありながら、比較的今後の分野ということで、

様々な会社が参入して、乱立状態に近い状況にあると思われます。

行政も、そろそろ本腰を入れて、優良企業とそうでない企業を区分けして、

淘汰を進めさせていこうとしているような印象を受けます。


介護福祉業界は、他の業種と比較して、労働関係法令の違反状況が非常に高く、

労働基準行政では、「重点対象事業場」として、特別に選定して監督を組まれている状況でした。

また、労働条件も非常に低く、他の業種と比べるとかなりの格差があります。

参考までに、平成20年に実施した賃金構造基本統計調査の実態では、以下のような状況です。

   全産業  40.9歳 勤続11.6年 32万8800円
    医療   38.8歳 勤続 8.2年 33万3000円
   社会福祉 39.0歳 勤続 7.1年 24万2400円

また、同じ医療福祉業という括りにしても、医業などの職種に比較し、非常に低い賃金水準です。

    医師   40.9歳 勤続 4.8年 88万8900円
   看護師   35.9歳 勤続 6.8年 32万2000円
   准看護   44.5歳 勤続 9.9年 27万7100円
   作業療   30.1歳 勤続 3.8年 27万4700円
  ケアマネ   44.9歳 勤続 7.1年 26万0300円
   ヘルパー 43.9歳 勤続 4.4年 21万1700円
福祉施設介護 35.8歳 勤続 5.2年 21万5800円

こういう低賃金の状況下において、さらに高い労働関係法令の違反があるという実態です。

そのため、他業種に比べての離職率は高く、そのため同時に求人数も増えています。

全国の有効求人倍率が上昇していて、職安行政は喜んでいるかもしれませんが、

結局はこんなことだから雇用ミスマッチがあり、失業率はさほど変わらない訳です。


大量に雇用し、大量に離職していく、

まさに、典型的な ブラック企業 と言われてしまうかもしれません。

優秀な人材が確保しづらくなり、結果的に能力の劣る労働者が入り、

早いうちに辞めていくというような負のスパイラルに陥っています。


この状況を打破するという目的で、昨年の介護保険法の改正で

指定取り消し要件に労働関係法令の違反を入れ、

さらに処遇改善交付金に代わる加算を開始したところです。


ただ、要件となる労働関係法令違反も、賃金の支払いに関する違反で

罰金刑以上の刑に処せられて執行が終わるまでの間としています。

結局、残業代不払などで送検されて罰金刑が出ないと、取り消しにはならないということで、

どこまで本気でやろうとしているのか疑問もあります。


※ちなみに、執行が終わるまでの間ということに関して、介護専門のコンサルタントが
HPや講演などで、
 「罰金刑の執行が終わるまでの間とは、納めれば執行が終わるので対象はない」
など言っているのを見かけましたが、これは大きな間違いです。

罰金刑の執行が終わるまでの間というのは、罰金を払って5年経過する時点で刑罰が消滅、
あるいは罰金が確定して払わないまま2年が経過したときに消滅するものですから、
罰金払って5年は指定要件を欠くことになります。


そのような状況下で、現在の介護福祉業界が進められているわけです。

しかし、これからの日本は、さらに少子高齢化が進み、

介護業界はますます重要になっていくわけですから、

更なる転換を図るための政策、労働条件を引き上げるための負担を担保する現行以上の制度を

新たに設ける必要があるのではないかと考えています。

厚生労働省老健局の23年の調査でも、一応20年実施時と比べ

1施設当たりの利益そのものは上がってきているわけですから、

全く手を打てないわけではないと思います。

それに、消費増税の言い訳は、社会保障費の増加に対応ということなので、

これらの労働条件引き上げを目的として、国庫からの出動もやむを得ないのではないでしょうか。

不正受給のはびこる雇用調整助成金よりも、より有意義な使い道だと考えます。

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 福岡で元労働基準監督官が行うコンサルタント事務所

  原 労務安全衛生管理コンサルタント事務所

    労務安全衛生アドバイザー 原  論(さとし)
         (社会保険労務士

     http://www.roumuanzeneisei.jp
     http://acchandd.blog.bbiq.jp(ブログ)

 ※以前 acchanpapa の名前で書き込みしていました。

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