スポンサーリンク

HOME > コラムの泉 > 事業上の契約と「錯誤」

コラムの泉

事業上の契約と「錯誤」

カテゴリ
企業法務  >  全般
最終更新日
2016年12月14日 13:23
著者
弁護士法人クラフトマン さん
ポイント
716,564ポイント
ポイントランキング100

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第185号 2016-12-13


-------------------------------------------------------
法律相談ご案内
http://www.ishioroshi.com/btob/soudan_firstb.html


顧問弁護士契約顧問料)についての詳細
http://www.ishioroshi.com/btob/komon_feeb.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1 今回の事例 事業上の契約と「錯誤
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 東京地裁平成28年5月27日判決

 A社は、「加圧トレーニングに関する資格取得のための指導及び
資格保有者の育成、指導、管理」などを目的する会社です。A社は、
アンチエイジングサロンを営むB社との間で、「法人契約加圧トレ
ーニングインストラクター養成講習」に関する契約を締結しました。

 しかしB社は、同契約が、「錯誤」に基づくものであるとして契
約の無効を主張しました。その理由の一つは、B社の代表者が、A
社代表者の書籍を読み、加圧トレーニングを行うことにより成長ホ
ルモンを290倍分泌させることはできるとの錯誤に陥った、とい
う主張でした。

 なお本件は、他に争点が多岐にわたりますが、本稿では上の点に
絞りたいと思います。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 裁判所の判断
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 裁判所は以下のように判断し、「錯誤」の主張を認めませんでし
た。

● B社の主張する錯誤は、契約締結に至る動機の錯誤であるため
契約締結においてその動機が表示されていた必要があるが、そのよ
うな事実は認められない。

● また、同契約は、B社が、営利を目的とする事業を遂行するた
めに、A社との間で締結されたものである。

● そうであれば、B社は、取引の通念に照らし、同契約の締結・
更新の際に、加圧トレーニングの成長ホルモンに対する効果につい
て、調査・検討することは必要不可欠であった。

● よって、加圧トレーニングの成長ホルモンに対する効果に関す
る認識の誤りがあったとしても、事業を遂行する過程で契約を締結
等する際に、当然に調査検討すべき事項を怠ったことによるもので
あって、重大な過失に基づく誤認である。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(1)錯誤とは

 民法では、契約の「要素」に「錯誤」があった場合、その契約
が「無効」となる、と定められています。

 例えば、判例に表れた例としては、土佐犬の売買契約につき、買
手が当該犬が全国横綱としての実績を有し即時試合出場可能な闘犬
であるものと誤信したが、実際はフィラリア症に罹患して激しい運
動ができる状態ではなかったという事実のもとで、売買契約錯誤
があったと認めた例があります。

 なお契約の「要素」とは、その錯誤がなかったならば、本人はそ
契約をしなかったであろうと考えられ、かつ、普通一般人も、そ
契約をしなかったであろうと考えられるほどに重要なものと考え
られています。つまり、契約内容の根幹をなすような重要な部分に
ついての錯誤である必要がある、ということです。


(2)契約締結と事業者の調査義務

 民法は、錯誤に陥った者に重過失がある場合には、無効を主張す
ることはできない、と述べています。

 この点、本件の裁判所は、営利を目的とする事業者契約締結を
する以上、契約の対象となるものの効果について調査して判断すべ
きことであって、調査検討を怠ったことには重過失がある、と判断
しました。

 それで、事業者が事業上の契約において「錯誤」があったとしてそ
契約の効力を覆すことは現実にはハードルは高いと考えておくべ
きかと思います。

 「営利を目的とする事業を遂行する者は、自ら調査検討して契約
を締結する義務がある」という理屈は事業者にとっては厳しいよう
に思えるかもしれませんが、事業者のリスク管理として銘記してお
くべき点ではないかと思われます。

 例えば、事業上の契約においては、特許実施契約のように自社の
事業を大きく左右するような重要なものもあります。こうしたもの
であれば、弁理士や特許を扱う弁護士などの専門家に、その特許
自社の事業との関係、当該特許の無効理由などを調査・鑑定しても
らうことは決して無駄なコストではないでしょう。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。


ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、
メールでお申出ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【執筆・編集・発行】
弁護士・弁理士 石下雅樹(いしおろし まさき)

東京事務所
〒160-0022 東京都千代田区丸の内1-5-1 
新丸の内ビルディング11階
弁護士法人クラフトマン東京国際特許法律事務所
TEL 03-6267-3370 FAX 03-6267-3371

横浜事務所
〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町3-32-14 新港ビル4階
クラフトマン法律事務所
TEL 045-276-1394(代表) FAX 045-276-1470

mailto:info@ishioroshi.com


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
弊所取扱分野紹介(契約書作成・契約書チェック・英文契約
http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_keiyakub.html
(弁護士費用オンライン自動見積もあります)

弊所取扱分野紹介(英文契約書翻訳・英語法律文書和訳)
http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_honyakub.htm

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本稿に対するご意見、ご感想は mailto:info@ishioroshi.comまで
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■バックナンバー
  http://www.ishioroshi.com/biz/topic/



スポンサーリンク

スポンサーリンク

絞り込み検索!

現在19,050コラム
新規投稿する
サイト内検索 総務・労務・経理・法務ご担当の仕事の様々な疑問や困りごとを検索すれば、仕事に役立つ情報が探せます。

お知らせ

注目の検索キーワード

スポンサーリンク

注目の検索キーワード

読み物

注目の総務辞書用語

注目のコラム

注目の相談スレッド

総務の森ナビ

スポンサーリンク