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コラムの泉

不正目的による商標登録

カテゴリ
企業法務  >  知的財産権
最終更新日
2017年01月05日 15:17
著者
弁護士法人クラフトマン さん
ポイント
734,830ポイント
ポイントランキング100

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第186号 2016-12-27

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法律相談ご案内
http://www.ishioroshi.com/btob/soudan_firstb.html

顧問弁護士契約顧問料)についての詳細
http://www.ishioroshi.com/btob/komon_feeb.html
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前書き
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 本稿を執筆している弁護士の石下(いしおろし)と申します。本
年はこの号をもって最終となります。皆様の1年間のご愛読に心よ
り感謝申し上げます。年明については1月10日からの発行を予定し
ています。

 ところで、この度、レクシスネクシスジャパン株式会社が発行す
る「Business Law Journal」 2017年2月号(2016年2月)付録
の"LAWYERS GUIDE 2017"にて、弊所が紹介されました。

  http://www.businesslaw.jp/contents/201702.html

 同誌では、西村あさひ法律事務所といったビッグファームや中村
合同特許法律事務所といった知財に特化した事務所など、ビジネス
ローにおいて実績を残している我が国の代表的な事務所が紹介され
ています。

 多くの企業の法務部や知財部が購入している雑誌ですので目にす
る方もおられるかと思いますが、機会があれば、弊所の掲載ページ
(54~55頁)をぜひご一読ください。




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1 今回の事例 不正目的による商標登録
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 知財高裁平成28年12月8日判決

 ある寺を運営する宗教法人A寺は、平成8年7月頃から、開創4
00年記念事業の一環として「縁の会」という生前個人墓に関する
事業(本件事業)を開始しました。

 また、A寺とB社は、上の事業について共同事業契約を締結し、
さらに平成18年、A寺がB社に、「緑の会」の会員募集に関する
業務を委託しました。

 そして、A寺とB社は、平成25年2月14日付の覚書で、両者
間の契約が平成26年12月31日まで終了することを合意しまし
た。

 その後B社は、平成26年2月12日、「縁の会」 (標準文字)
商標を出願し、登録を受けました。指定役務は、 第35類「墓地
・納骨堂及び墓の販売に関する事務の代理又は代行」等、第45類
「葬儀の執行、永代供養の執 行及びこれの媒介又は取次ぎ、墓地又
は納骨堂の提供」等でした。

 これに対しA寺が商標登録異議を申し立て、特許庁が当該登録の
取消の決定をなしたため、B社がその決定の取消訴訟を提起しまし
た。




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2 裁判所の判断
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 裁判所は以下のように判断し、B社の商標登録を取り消す判断を
維持しました。

● B社商標の出願日及び登録査定日のいずれにおいても、A寺の
「緑の会」は、A寺の事業を表示するものとして、需要者の間にお
いて広く認識されていた。

● B社は、平成25年2月時点で、遅くとも平成26年12月3
1日までに委託契約が終了し、「緑の会」の業務をA寺に引き継ぐ
べき義務を負ったにもかかわらず、B社商標の出願をし登録を受け
た。

● B社の商標登録によりA寺が「緑の会」の商標を使用し得なく
なるとその事業継続に重大な支障を来すおそれがあることは、B社
が当然予見し得る事情であった。

● B社は、A寺の商標がいまだ商標登録されていないことに乗じ
てこれに化体された信用と顧客吸引力にただ乗りし、他の宗教法人
と展開するA寺事業と類似の事業にB社商標を使用することで利益
を得、又はA寺の事業の継続に支障を生じさせてA寺に損害を生じ
させることを目的としてB社商標を使用するものと推認される。

● よって商標法4条1項19号の「日本国内における需要者の間
に広く認識されている商標と同一の商標であって、不正の目的をも
って使用をするもの」に該当する。




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3 解説
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(1)商標法4条1項19号の概要

 商標法4条1項19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表
示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識
されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもっ
て使用をするもの」については商標登録ができない、と定めていま
す。

 ある商標が周知となっているのに、たまたま未登録であるために
他者が出願登録してしまうことがあります。そこでそのような商標
登録のうち、不正な目的があるものについて、商標登録拒絶理由と
しました。

 なお、同号の規定は、海外で周知となっている未登録商標にも適
用されますから、海外で有名になっているブランドで日本国内で未
登録のものを第三者が無断で登録することを防ぐ規定でもあります。


(2)悪意の商標出願に対して対抗できる商標法の規定

 ビジネス上のリスク管理の観点でいうと、自社で使用しており今
後も使用する予定のある重要な商標であれば、未登録のままにせず
にきちんと出願・登録することが、権利保護の確実性に加え、コス
トや労力の面からもずっと得策であるといえます。

 もっとも、何らかの理由で出願をせず(又はできず)、その間に
第三者が自社の商標と類似の商標を出願登録してしまうということ
があるかもしれません。

 この場合に、商標法は、上に紹介した規定のほか、種々の規定を
置いています。その主なものは以下のとおりです。

 ・ 商標の使用意思(3条1項柱書)
 ・ 公序良俗違反(4条1項7号)
 ・ 他人の名称等を含む商標(4条1項8号)
 ・ 他人の周知商標と同一・類似の商標(4条1項10号)
 ・ 出所の混同(4条1項15号)
 ・ 他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用を
   する商標(4条1項19号)

 例えば、自社の未登録商標が日本国内で周知性があり、他者が、
自社の商品と類似の商品を指定商品として出願する場合、商標法4
条1項10号が活用できます。また、他者が出願した商標の指定商
品が自社の商品と類似しない場合でも、出所の混同のおそれがあれ
ば、同項15号の規定が活用できます。

 また、前述のとおり、自社の未登録商標が海外で周知なブランド
である場合、同項19号の活用が検討できます。さらに、出所の混
同のおそれがなくとも、出願人について不正の目的がある場合も、
同項19号が活用できます。

 また、出願の経緯などに商標法の趣旨に反するような不正がある
というような場合には、同項7号が活用できますし、自社の名称を
含むような商標の出願については同項8号が活用できる余地があり
ます。

 以上のとおり、自社の未登録商標が万一第三者によって登録され
てしまった場合の対抗手段は複数あります。それで、そのような事
態が生じた場合、簡単にあきらめることなく、弁理士や商標に詳し
い弁護士に相談し、適切な手が打てるように対応することが重要と
思われます。




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4 弊所ウェブサイト紹介~商標法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した商標法については

   http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/

において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。




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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。

ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、
メールでお申出ください。
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【執筆・編集・発行】
弁護士・弁理士 石下雅樹(いしおろし まさき)

東京事務所
〒160-0022 東京都千代田区丸の内1-5-1 
新丸の内ビルディング11階
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