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コラムの泉

共有特許の実施と共有者間の合意

カテゴリ
企業法務  >  知的財産権
最終更新日
2017年04月12日 13:41
著者
弁護士法人クラフトマン さん
ポイント
701,243ポイント
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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第192号 2017-04-11

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1 今回の事例 共有特許の実施と共有者間の合意
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東京地裁平成29年3月29日判決

 A社、B氏、C氏、D氏の4名が、「結ばない靴ひも」に関する
特許を共有していました。

 そして、A社がその特許発明の実施品を製造・販売したことに対
し、B氏は、当該販売が4名の共有者間の合意に反する特許の実施
てあると主張し、損害賠償を請求しました。

 B氏の主張では、特許発明の実施について、(a) D氏が中国国内
の工場で実施品を製造し、(b)これをC氏が梱包し、(c) これをB氏
が仕入れ、(d) さらにA社がこれを日本に輸入して販売することと
し、これを唯一の販売形態とする旨の合意をしていたと主張しまし
た。




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2 裁判所の判断
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 裁判所は以下のとおり判断し、B氏の請求を認めませんでした。

● 当該特許の出願に際して作成された契約書には、特許発明の実
施につき、4者間で協議の上「別途定める」との記載があるものの
、これ以外に何らの記載はない。

● また、「別途定める」に該当する、B氏主張の販売形態を唯一
の実施形態とする旨の合意がされたことを裏付ける契約書その他の
書面は証拠上存在しない。

● A社は当該特許権の共有者であり、共有者であれば、契約で「
別段の定め」(特許法73条2項)をした場合を除き、他の共有者
の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるから、A
社は原則として、特許発明を実施することができる。




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3 解説
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(1)特許権の共有の概要

 特許権の共有とは、1個の特許権を2名以上で共同して保有する
ことをいいます。

 特許権が共有に至る場合には、本件のように、特許を共同で出願
した場合のほか、単独で保有されていた特許権の一部の持分を譲渡
するということもあります。

 特許権の共有は、共同開発の結果としては自然な流れではありま
すが、注意しないとせっかく取った特許が活用できなくなるおそれ
があります。以下、その扱いにおいて留意すべき点をご説明します。


(2)共有特許の自己実施

 まず、特許法では、原則として、特許の共有者であれば自由に共
特許の発明を実施することができ、実施料などを支払う必要もあ
りません。

 もっとも「別段の定め」がある場合(特許法73条2項)は別で
あり、今回の事例において、B氏は、当該特許発明の実施方法につ
いて、「別段の定め」があると主張したわけですが、裁判所は証拠
での裏付けがないと判断しました。

 しかし、特許発明を利用して共有者間で共同のビジネスを行うと
考えているのであれば、合意内容を早期に書面で定めておくことは
重要と考えます。

 この点、特許を共同出願するようなときは、通常は共同出願人の
間には信頼関係があるだけに、時間がないといった理由や、「書面
にしなくてもみな理解している」といった理由で、どのように発明
を実施するかについて曖昧なままにしてしまうことがあるかもしれ
ません。

 しかしこの場合、いざ実施の場面になったときに共有者間の認識
の齟齬が表れてトラブルになることもありますし、合意に違反する
行為を行う共有者に対しても、これを法的に正していくことが困難
になってしまうこともあるわけです。


(3)共有特許のライセンス・譲渡

 他方、共有者の一部が、共有特許を第三者にライセンスしたり、
共有特許の持分を譲渡する場合、他の共有者の同意が必要とされて
いる点も留意すべき点です。

 それで、自社が開発専業であり、製造能力がなく、開発成果のラ
イセンスから収益を得ことを期待している場合、共同開発契約や共
同出願契約などの書面の中で、特許発明のライセンスの可否やライ
センス条件について、できるだけ具体的に定めておくことは重要に
なると思われます。そうでないと、いざライセンスしようというと
きに共有者の同意が得られず、登録を受けた特許の共有持分が「宝
の持ち腐れ」になってしまうからです。
 



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4 弊所ウェブサイト紹介~特許法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した特許法については、

http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/tokkyo/index/

にあるとおり、特許の出願からライセンス、紛争解決の方法まで、
特許法に関する解説が掲載されています。必要に応じてぜひご活用
ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。






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ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、
メールでお申出ください。
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【執筆・編集・発行】
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